本日の「怒」081212/あーあ、ものごとの本質が・・・
ネットではさんざん話題になっているようですが、先週、国籍法改正案が成立しました。詳細がわからない人のために、簡単に説明します。
現在の国籍法では、日本人の男性が外国人の女性と「未婚で」子どもをもうけて認知すれば、子どもは「出生時に」日本国籍を取得できます。しかし、出産後だと子どもを認知しても両親の「婚姻関係がないと」国籍を取得できないのです。その点が、先日の最高裁判例で違憲を指摘されたために、改正法案が提出されたのでした。要するに、問題は「出産前と出産後で、婚姻関係が要件となる差別をなくせ」という点につきるのです。ですから、改正案は「出産後でも認知すれば国籍を取得できる」という要件を整えたものでした。
この法案、成立に積極的だったのは公明、社民、共産の各党。民主は概ね賛成で自民の中に強硬な反対派がいる、国民新党も原則反対、という構造でした(だったはずでした、か/苦笑)。このように書けば、反対理由がおぼろげに見えてきますね。要するに「日本人の血を汚すな!!」という発想が背景にあるのです。最高裁で違憲と判断された以上、これから国籍の取得を求めた場合に、政府が認めずに裁判になる、ということは、いらぬ痛痒を与えることになります。ですから、法案を改正することはしごく当然な話なのですね。(逆をいって「出産前の認知でも国籍を認めない」という方法もあり得ますが・・・現実問題としてかなりハードルが高くなることは必定です。)反対が少数で、すんなり国会を通過するもの、とおもいきや・・・ネットで大騒ぎになりました。議員の事務所にファックスが大量に送りつけられる、などといった「運動」も(煽動する書き込みがあったようで)かなり広がったようです。(大阪の誰かさんの発想と同じですね。)
そこに、殴り込みをかけた御仁が登場。新党日本の田中康夫代表です。以下は田中氏のブログでの「宣言」です。
2008/12/04(木)
私は、DNA鑑定と扶養義務を明記せぬ欠陥法案にして、不条理極まりなき国籍法「改正」に、明日の参議院本会議で反対票を投じます。新党日本代表 参議院議員 田中康夫
12月5日(金)の参議院本会議で採決が予定されている「国籍法の一部を改正する法律案」は、偽装認知奨励法、人身売買促進法、小児性愛黙認法と呼び得る、重大な瑕疵を内包しています。
“身勝手な行為”で外国籍女性との間に子を儲けた日本人男性が、婚姻も同居もしないが、日本国籍だけは子供に付与せよ、と法務局の窓口に出向いた場合、写真を添付の書類さえ整っていれば、「届出制」で受理する。それが、今回の「改正」です。しかも、扶養義務の宣誓すら課せられていません。
誰もが容易に写真を編集可能なデジタルな時代に生きる私達は、偽装認知を防ぐ上でも、DNA(ヒトの個体のデオキシリボ核酸の塩基配列)鑑定を条文化すべきなのです。既にイギリス、ドイツ、フランス、スウェーデン、オランダ、ベルギー等のヨーロッパ11カ国では、国が指定する医療機関でのDNA鑑定を義務付けています。
にも拘らず、法務委員会に於ける私の質問に対し、DNA鑑定は人権侵害の差別に繋がる、と森英介法務大臣は驚くべき答弁を行いました。
至らなさを改むるに如くは無し。転ばぬ先の杖。
「科学的な確認方法を導入することの要否及び当否について検討する」なる抽象的文言の附帯決議では、些かの効力も及ぼし得ません。
DNA鑑定制度の導入と父親の扶養義務を明記せぬ今回の「改正」は、更なる「闇の子供たち」を生み出す人権侵害法に他なりません。
私 田中康夫は明日の参議院本会議で、「国籍法の一部を改正する法律案」に反対します。
(ここまで引用)
田中氏の意見は、市民派として活動して来た氏の経歴から、一般紙も取り上げるなど、かなり話題になりました。私もその見解を見に行ったのですが、このブログを読んで「唖然」としたのです。田中康夫って、こんなに頭わるかったっけ???
この見解には「改正の理由/目的」が全く触れられていません。ご自分の見解を披露することには熱心ですが、そもそもの問題意識が違う。これまでの氏の主張から言えば、「DNA検査などもってのほか。個人情報が権力に蓄積されることの恐ろしさを想像できないような無知蒙昧な輩の群れである国会議員諸兄には、権利の何たるかを学び直されることを熱望する次第であります」とか何とか言いそうなところです。しかし、石原都知事といい、この人といい、どうして某大学卒の政治家にはこういう「なるちゃん」が多いのでしょうか。それよりも、神戸空港反対とか脱ダムとか、市民よりに見える主張を繰り返したあげくに、こうした「人権センスゼロ」の主張をするところなど、(主張の仕方を含めて)厚生省を追求したあげくにネットウヨの親玉に成り果てた某漫画家に通じるものを感じるのは私だけでしょうか?
この法案、多くの「国士」たちが不安を感じたようです。かなり広範囲に「問題だ」という議論がなされています。表向きの反対論の多くは田中氏のブログに書かれていますが、中には、「これは司法による立法行為、立法権の侵害だ」という主張もあります。最高裁の少数意見でもそうした見解を述べていた判事がいますが、メンツを見ると、横尾和子(厚生省→社会保険庁長官→天下り→アイルランド大使→最高裁判事)、津野修(大蔵省→内閣法制局長→弁護士→最高裁判事)、古田佑紀(検事→法務省刑事局長→最高検検事→最高裁判事)というキャリアのお三方。いずれも、庶民や人権感覚からはもっとも遠い世界に生きて来た面々です。この高貴な方々なら「綿々たる歴史を単一民族によって積み重ねて来た日本人の血を守らねばならぬ」という思い込みがあっても不思議はありません。そしてこのお三方には、「さんけんぶんりつ」をもう一度、小学校から学び直すことをお勧めしたいと思います。


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