外交/国際

2009年12月 9日 (水)

本日の「怒」091209/これでまっとうな交渉ができるなら良いことですが・・・


 暗礁に乗り上げた形の普天間移設問題ですが、昨日、平野官房長官が記者会見でこんなことを言っています。

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平野官房長官 米国側に「負担軽減求める」普天間飛行場移設問題で
2009.12.8 13:16 産經新聞

 平野博文官房長官は8日の記者会見で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設問題で、「危険な領域の除去や騒音問題について、日本側としては優先して対応をとらなけれなならない」と述べた。移設先の決着前に沖縄県民の負担軽減策を米国側に求めることが可能か、政府として検討する考えを示したものだ。
 平野氏は、米側が移設先決着前の負担軽減には難色を示すとの指摘に対し、「もちろん、米国サイドからみればそうだろう。だから交渉する」と述べた。
 また、気候変動枠組み条約第15回締約国会議での鳩山由紀夫首相とオバマ米大統領との会談の可能性について、平野氏は「(双方の日程が)非常にタイトだと聞いているが、どういう時間帯でできるのか、今、調整している」と語った。
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 普天間の移設問題については、アメリカとの交渉を本格的にやり直すべきだ、というのが私の考え方です。それには、「なぜこのような形になったのか」ということをたどってみる必要があります。

 普天間の移設は、沖縄米兵少女暴行事件をきっかけとしてわき上がった県民世論に押される形で、1996年に安全保障協議委員会で普天間からの撤退を決めたことでスタートしました。当初はあいまいだった候補地が、翌年になって辺野古地域が候補地であることが発表されると、さまざまな反対運動が起こりました。当初は辺野古への移設に反対だった名護市議会や名護市長も、さまざまな懐柔策で「条件付き受け入れ」へと変容して行きます。沖縄県も、当時の反対派の太田知事の後任である稲嶺知事は、「15年間の限定付き」で受け入れることを表明し、辺野古への移設が既定路線として動き出しました。しかし、15年限定の条件をアメリカ側が受け入れるはずもなく、最終的な合意を得ることができないまま10年以上の時間が経過したのです。

 この間、アメリカ側にも大きな変化がありました。冷戦構造の終結/崩壊とそれに続く地域戦略の見直しに伴って、2002年にはブッシュ政権が世界規模での米軍再編を打ち出しました。この再編には、経済的事情やアメリカの孤立主義政策、兵器の高性能化などの背景もありますが、もちろんアメリカの一方的な戦略変更によるものです。

 日本の基地も、米軍再編の影響を受けました。2008年には秘密交渉の結果を受けて日本政府は横須賀基地への米原子力空母の受け入れ(母港化)を表明したこと、岩国基地への艦載機部隊の移転(この問題については、日本政府が国民より米軍の都合を優先するということがよくわかった一件でした)などがこの再編戦略に基づいた動きでした。

 一方で、沖縄県民の負担が大きい海兵隊のグアムへの移動も発表されました。海兵隊は戦場で先陣を切る、いわば「荒くれのエリート」たちです。兵員の精神的な負担も大きく、沖縄でも問題を起こしたことがたくさんあった「歓迎せざる」ものたちなのです。ですから、海兵隊の移動は、沖縄県民には歓迎されました。しかし、この移転には日本政府からの莫大な費用負担が前提となりました。その額がいかに馬鹿げたものであるかは、グアムに建てる兵員住居が一戸あたり5000万以上計上されていることでもわかります。もちろん、アメリカ側が兵員住居にそんな金額をかける訳はなく、日本政府はいわば「白紙の領収書を認めた」に等しいのです。

 私は、自民党政権はそもそも米軍基地の縮小そのものに反対だったと考えています。もちろん、そんなことをあからさまに言うと強烈な反発を喰らいますから口にはしませんが、米軍基地が縮小することによる経済的影響を考えると、「そこには手を付けたくない」が本音だったとしか思えません。自民党政権には沖縄の経済振興策が全く「見えていなかった」ので、基地が縮小することは経済的恩恵を支持基盤とする自民党にとって、基地は「ありがたい」存在だったのです。そうした背景が、「アメリカの言うことを聞いていれば良い」という外務省の無策と相まって、米軍基地の縮小交渉を本気でやらない状況が続いていたのだと思うのです。

 こうしたいびつな状況を一変させるために必要なことは、日本がアメリカと対等な外交交渉を行なうことができる力をつけるしかありません。アメリカにとっては「迷惑な」話でしょうが、自民党政権と外務省によってアメリカの属国以下の扱いを甘んじて享受していた日本外交を見直すきっかけになるのであれば、多少時間がかかろうともかまわないと思います。

 平野官房長官の発言は、珍しく「正論」です(もちろん、平野氏本人の考え方だとは思えませんが)。日本政府が考えなければならないことは、沖縄県民の負担軽減策であり、基地に頼らない沖縄の振興策です。いろいろと躓き続きの民主党政権ですが、この問題ではここで踏ん張って欲しいと思います。

2009年10月14日 (水)

本日の「怒」091014/どちらに理があるか・・アフガンをめぐる社説はみごとに分かれていますが・・・


 しばらく、体調不良と休暇でお休みしていました。本日から復帰します。

 今日のテーマは「アフガン」。私としては、オバマ大統領のノーベル平和賞受賞は納得がいきません。その最大の理由が中東政策です。オバマ政権は、まだアメリカ政府が綿々と続けてきた「力の政策」を転換していません。いわば「力のかけどころ」を修正しただけ。そんな状態で「核廃絶宣言」だけでオバマ大統領に平和賞を与えたノーベル委員会には、「本当に核廃絶をやれよ」という、いわば強烈な「メッセージ」を送りつけたつもりなのでしょう。しかしながら、アメリカ外交の基本である「力による他国の支配」を改めないかぎり、そしてその象徴であるアフガンからの撤退なくして、オバマ政権がアメリカを本当に「チェンジ」させようとしているとは到底言えません。(「米国大統領にオバマ氏(2)・・外交はどうなる」「これで大胆な「チェンジ」が期待できるだろうか/オバマ新政権の閣僚名簿から読めること」「オバマ新大統領への期待と不安」参照)

 それはさておき、岡田外相の電撃的なアフガン訪問は大きな話題になりました。14日の各社の社説は、いずれもこの話題を取り上げています。

 自衛隊を正式な軍隊にすることや海外派兵、アメリカ追随外交を「社是」とする(笑)産経、読売両紙は「給油継続」を強く主張し、日経、毎日は「選択肢のひとつとして給油を継続することを、朝日、東京は民生支援に重点を置いた見直しを主張しています。

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【主張】インド洋補給支援 国益損なう撤収の回避を
2009.10.14 03:05 産經新聞

 インド洋での海上自衛隊による補給支援活動が、来年1月で中断される公算が大きくなった。岡田克也外相が、活動を継続するための法案を臨時国会に提出するのは困難だとの見通しを示したためで、平野博文官房長官も「外相の発言は重い」と同調した。

 提出見送りは、社民党の反対に加え、臨時国会の会期が今月下旬から1カ月程度では十分な審議時間がないからだという。これにより日本はテロとの戦いから脱落する。アフガンでの対テロ戦争に苦悩する米国の足を引っ張り、日米同盟を損なうことになる。国益は維持できない。鳩山由紀夫首相には再考を求めたい。

 鳩山首相や岡田外相はこれまでも「単純延長はしない」というあいまいな姿勢を続けてきた。国会の事前承認など、現行の新テロ対策特措法に新たな条件を付けて継続する道をなお探るべきだ。

 岡田外相は、アフガニスタンに続いて訪問したパキスタンで「国会日程は窮屈だ。いろいろな調整が必要になるので臨時国会でというのは現実には難しい」と記者団に語った。ザルダリ大統領やギラニ首相は「燃料と飲料水の補給支援をぜひ継続してほしい」と活動継続を求めたが、岡田氏は「期限切れ後の対応をいろいろ検討している」と述べるにとどめた。

 継続を期待されている補給支援を打ち切ることの説明としてはまったく不十分だ。日本の政治状況を伝えるより、外交の責任者として国益を踏まえた判断を示してほしかった。

 政府はアフガンで活動する国際治安支援部隊(ISAF)の地方復興チーム(PRT)に文民を送った。これまでも民生支援は行っているが、新たに元タリバン兵士の職業訓練や農業支援の拡大などを検討しているという。だが、治安状況を考えれば軍隊による護衛が常に必要で、大規模な文民派遣は困難とみられる。民生支援は具体化できず、補給支援の中断だけが決まる状況で、オバマ米大統領の訪日を迎えられるだろうか。

 政府は7月の衆院解散で廃案となった北朝鮮関係船舶に対する貨物検査法案も国会提出を見送る方向だ。内政課題が山積しているとしても、国際的な責務を果たす案件を後回しにしてはならない。

 審議時間が足りないなら必要な会期を設定すればよい。首相の個人献金問題などの追及を避けたいというわけではあるまい。

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アフガン支援 給油活動継続の道を探れ(10月14日付・読売社説)

 テロとの戦いの最前線に立つアフガニスタンでは、多くの国が犠牲を払いながら、治安の回復に努めている。日本が民生分野の支援だけで済ませるわけにはいかない。
 岡田外相がアフガニスタンとパキスタンを訪問した。鳩山政権として打ち出すにふさわしい支援策を探るため、両国の実態を自分の目で見たいと考えたという。

 外相は、旧支配勢力タリバンの元兵士に対する職業訓練への資金援助など、民生分野の支援に力を入れる考えを強調した。

 日本はこれまでも、民生支援では主導的役割を果たしてきた。学校や診療所の建設、警察官の給与肩代わりなど、支援額の累計は約18億ドル(約1600億円)に達する。民生支援を強化することは、アフガンからも歓迎されよう。

 だが、インド洋での海上自衛隊の給油活動は、これとは別の問題と考えるべきだ。

 外相は、給油活動を延長する法案を臨時国会に提出しない考えを表明した。来年1月の期限切れとともに、海自を撤収する可能性が強まっている。

 海自の艦船が燃料や水を補給している対象は、インド洋で海上阻止行動に従事するパキスタンや米英仏独の艦船だ。テロリストの移動や、武器・弾薬、活動資金になる麻薬の海上輸送を遮断することが、阻止行動の目的である。

 アフガン本土では、欧米諸国を中心に42か国が参加する国際治安支援部隊(ISAF)が治安維持にあたっている。米軍主体のテロ掃討作戦を含め、これまでに約1400人の犠牲者が出ている。

 外相はアフガン滞在中、防弾車での移動を余儀なくされた。それが如実に示すように、治安の回復こそ最重要課題であり、各国が大きな代償を払いながら取り組んでいることを忘れてはならない。

 国連安全保障理事会は先週、ISAFの活動延長を決議し、海上阻止行動を含めた参加国に対する「謝意」を表明した。アフガンを再び国際テロの巣窟(そうくつ)としないためには、ISAFやインド洋での活動の継続が欠かせない。

 そうした中、日本だけが給油活動を中止し、戦線離脱すれば、国際社会の目にどう映るだろう。

 民主党では、小沢幹事長がISAFへの参加に前向きな姿勢を示したことがあるが、党内の大勢は慎重論だ。ならば、給油活動を続けることが、最も理にかなった人的貢献策ではないのか。
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 この両紙はもちろん「はじめに給油継続ありき」ですから、当然こうした議論になるでしょう。

 これに対して、日経、毎日はやや「分析的」です。「給油活動に代わるものが明示できるか」という点にも重点があるからです。

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社説1 やはり「小切手外交」を繰り返すのか(10/14 日経新聞)

 岡田克也外相は、来年1月に期限が切れるインド洋での給油活動の関連法の臨時国会への提出に関し「現実的には難しい」と述べた。海上自衛隊による給油活動は中断する結果となる。

 外相はアフガニスタンを7時間視察したが、インド洋の給油現場には足を延ばさぬまま、あっさり活動中断を意味する発言をした。結論先にありき、だったように見える。

 日本政府は、沖縄・普天間基地をめぐる日米合意、インド洋の給油作業に関する態度をパッケージの形でまとめ、11月12日に来日するオバマ米大統領に示す方針とされる。

 2つの案件のうち、一方は日米合意、他方は日本が自主的に決める問題である。本来は関連のない2つの問題をひとつにまとめて考えるとすれば、それ自体が奇妙に映る。

 沖縄は現行の日米合意通り進め、給油はやめるとする戦術であれば、透けて見えるのは、連立政権を組む社民党との関係を念頭に置いた内政上の思惑だろう。外交の観点に立てば給油中断は簡単にはできない決定である。

 私たちは、給油をやめる場合、(1)給油以上に意味があり、(2)安全性も同等以上であり、(3)「小切手外交」と批判されない人的貢献――が要ると書いてきた。中断は「カネは出すが、汗はかかない」と国際的に批判された小切手外交につながる。

 アフガニスタンでの民生支援は当然だが、既に外務省、国際協力機構(JICA)、非政府組織(NGO)など130人が現地で活動していると伝えられる。これを大幅に増やせる治安状況ではないのは、厳重な警戒のなかで現地を見た外相が一番わかっているはずだからだ。

 給油中断は米国や北大西洋条約機構(NATO)諸国ら「有志連合」で進めるアフガニスタンでの対テロ戦争からの離脱を意味する。日米首脳会談の後に鳩山由紀夫首相が「信頼関係を構築できた」と語ったオバマ大統領との関係にも影響する。

 オバマ氏は兵力増強を求める現地司令官、削減を求めるバイデン副大統領との間で苦悩する。日本の離脱は、本音は撤収したいが耐えているNATO諸国にも影響する。オバマ政権の苦悩は深まる。日米関係が負う傷は、外相の想像より深い。

 給油継続論の長島昭久防衛政務官は、職を賭して外相に翻意を求める必要がある。藪中三十二外務次官も同様である。1981年、高島益郎外務次官が当時の鈴木善幸首相の日米同盟に関する発言をめぐって辞意を表明した前例もある。

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社説:「給油」撤収問題 アフガン総合策を示せ(毎日新聞)

 アフガニスタン支援策を探るため同国とパキスタンを訪問した岡田克也外相が、来年1月15日に期限が切れる新テロ対策特措法の延長法案を臨時国会に提出するのは困難との見方を示した。インド洋での給油活動を打ち切り、海上自衛隊を撤収する公算が大きくなったことになる。

 鳩山由紀夫首相や岡田外相はこれまで「単純延長はしない」と発言してきた。北沢俊美防衛相が1月撤収を明言する一方、防衛省の長島昭久政務官が先週、海自派遣に対する国会承認を盛り込んだ法案に修正して給油活動を継続する考えを示すなど混乱したのも、「単純延長せず」の真意が不明だったからである。

 今回の外相発言は、撤収の方向に一段と踏み込んだものである。しかし、その内容には疑問が残る。来年1月の期限までに延長法案提出が間に合わないというのを理由の一つにしているが、修正法案であっても臨時国会で成立させる意思があれば可能である。政府が現在、検討している臨時国会で審議する法案の中に給油問題が含まれていないというのは現状の説明にすぎず、外相が給油中止の理由に挙げるのはおかしい。

 また、連立相手の社民党が自衛隊の海外派遣に反対していることも理由の一つのようだ。しかし、問題は連立政権で圧倒的多数を占める民主党から政権入りした首相や外相の考えである。これを明らかにしないまま社民党の姿勢にかこつけるのは、あまりに主体性がなさすぎる。

 政府に求めたいのは、外相のアフガン訪問を踏まえ、早期に総合的なアフガン支援策をまとめることだ。

 日本政府は過去、約20億ドルの人道・復興支援を表明し、すでに約17.9億ドル分を実施している。平野博文官房長官は「農業の再興、民生の支援」を柱とする考えを示し、外相はアフガン訪問時に、反政府勢力タリバンの元兵士への職業訓練を実施することを表明した。

 しかし、支援の具体的な全体像にはほど遠い。アフガン国内の急速な治安の悪化が、アフガン本土への要員派遣を困難にし、民生支援の選択の幅を狭めているのが現実である。

 毎日新聞は、給油活動もアフガン支援の選択肢の一つであると主張してきた。これをやめる場合は、過去の給油活動を検証し、関係国のニーズ、有効性の低下など中止の積極的な理由を示すと同時に、給油活動に代わる、より効果のある支援策を打ち出さなければならない。

 自民党は臨時国会に給油活動延長法案を提出するという。政権を揺さぶる狙いもあるのだろう。論戦のテーマになるのは確実だ。鳩山政権には、これに対抗しうる説得力を持った支援策を提示してもらいたい。
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 これに対し、朝日、東京両紙は、給油活動の停止に理解を示しています。

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対アフガン戦略—抜本的な見直しの時だ 10月14日 朝日新聞

 岡田克也外相がアフガニスタンを訪問し、反政府勢力タリバーンの元兵士に職業訓練を行うなど、新たな支援策をカルザイ大統領に伝えた。

 9.11テロ後のアフガン戦争でタリバーン政権が崩壊して間もなく8年になる。この8月の大統領選は、カルザイ政権の不正の報告が相次ぎ、いまだに結果が確定しない。勢力を回復したタリバーンの激しい攻勢のもとでテロも続発し、情勢は極めて不安定だ。

 この状況下で岡田外相が現地を訪れ、日本の支援継続の姿勢を示したことをまず評価したい。

 米オバマ政権が3月にまとめた「包括的新戦略」で強調したように、民生支援なしに軍事だけで現状を打開できないことは明白だ。日本は、農業のインフラ整備や警察官の給料の肩代わりなどで大きな貢献をしてきた。

 治安情勢など厳しい条件の中で日本ができることを考え、支援継続、拡大の姿勢を示すことは不安定化を阻止するために重要だ。元兵士への支援は、タリバーンの戦力拡大を防ぐためにも必要である。教育や農業支援などにもさらに知恵を絞ってほしい。

 オバマ政権は戦略の再検討に入り、難しい判断を迫られている。駐留米軍の司令官は4万人の増派を要求している。だが、米国内には戦争の泥沼化に通じかねないとの異論も強い。

 実際、米国でも国際治安支援部隊に参加している欧州諸国でも、兵士の犠牲が急増していることで厭戦(えんせん)の空気が広がってきている。

 オバマ氏が「必要な戦争」としてきた論拠も揺らいでいる。アフガンを根拠としていた国際テロ組織アルカイダは、ビンラディン容疑者の所在はなお不明だが、拠点をパキスタンや北アフリカに移している。

 米の「新戦略」がすでに指摘しているように、パキスタンへの支援も一体に考えねばならない。パキスタンでは地元のタリバーン勢力によるとみられるテロが続発している。陸軍総司令部も武装集団に襲撃され、同国の核管理態勢への不安も一気に高めた。

 アフガンに兵員を増派しても、民間人の犠牲が増えては、治安改善の効果は乏しいだろう。アフガンを「オバマのベトナム」にすることなく、効果的にテロを抑止できるよう、抜本的な戦略の見直しに努めてほしい。

 日本が安上がりで効率的な貢献として続けてきたインド洋での給油は、来年1月に期限が切れる。米国が対アフガン戦略全体の見直しを迫られているいま、鳩山由紀夫首相は民生を主体とする貢献策について、オバマ氏に十分説明し理解を求めるべきだ。

 その上で、より大きな文脈の中でアフガン安定化と対テロへの日本の貢献策をさらに積極的に探ってゆく。それが同盟国の果たすべき責務だろう。

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アフガン支援 現地が望む民生分野で 東京新聞 2009年10月14日

 「自分の目で現状を」との強い希望で岡田克也外相がアフガニスタンを訪問した。六時間の滞在でも現地が何を求めているか肌身で感じたはずだ。得意とする民生分野での支援の進め方を考えたい。

 鳩山政権の方針で、アフガンでの対テロ作戦のためにインド洋で行っている海上自衛隊の給油活動は根拠法が期限切れとなる来年一月まで、との見通しが強まった。

 「国際社会で評価されている」との意見もあるが、生活向上につながる民生支援をアフガン国民がより求めているのは間違いない。

 日本は、米英両国に次ぐ二十億ドル(約千八百億円)の援助を実施・表明してきた。五百五十以上の学校を建設・修復し、ケシ栽培に走らぬようなカーペットやジャガイモなどの一村一品運動を広め、警察官八万人の半年分の給与を支援した。非政府組織(NGO)の活動を含め、民生分野で他国にまねのできぬ実績をあげてきた。

 ただ、今の治安状況で支援をどう進めるか。五十メートルごとに治安要員が立つ沿道を防弾車で移動した外相も難しさを実感しただろう。

 大統領選は相次ぐ不正発覚で、二カ月近くたっても当選者が決まらない。旧政権タリバンが勢力を盛り返し、週一回以上襲撃を受ける地域は国土の八割に及ぶ。米軍の今年の死者は約二百三十人と、既に年間の最悪を記録した。

 農業指導していた日本のNGO「ペシャワール会」の男性スタッフが昨年八月に殺害され、現在、日本からは、国際協力機構(JICA)などが派遣した最小限度の約五十人が活動している程度だ。

 しかし、カブール空港ターミナル建設のように、日本人技術者が駐在しなくても国外から現地スタッフと連絡を取り合って完成させた例もある。日本は、元タリバン兵士を社会復帰させる職業訓練や農業支援を柱に考えているが、安全最優先での工夫はできないか。

 六万人以上の兵士を派遣している米国でも「戦う価値がない」という世論が半数を超え、オバマ政権は増派に踏み切るか、戦略の見直しを進めている。国際治安支援部隊(ISAF)に参加する欧州諸国も「犠牲者を出す戦闘部隊でなく、アフガン国軍を訓練する部隊の増派を」などと新たな支援を探っている。

 各国がばらばらに支援を見直すだけでは、泥沼化した今の情勢は変えられまい。可能な分野を提案し合い、一体化した国際支援となるよう調整する必要があろう。
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 この6つの社説を比べて面白いのは、継続強硬派の産経、読売と条件付き継続派の毎日がアメリカの国内情勢や他の国の事情にほとんど触れていないことです。これに対して、朝日、東京はアメリカの世論にふれています。また、パキスタン情勢にもふれていますね。

 このあたりに、スタンスの違いが「何を情報源にするか」という「選別」につながっていることがよくわかります。

 朝日社説が取り上げているアメリカの分析(アルカイダが拠点をパキスタンや北アフリカに移していることなど)や、アメリカでアフガン派兵に対する疑問が広がっていること、そして「本音は撤収したいが耐えているNATO諸国」は、給油活動継続派にとっては「都合の悪い情報」です。

 私は、そもそもアフガン派兵そのものに反対の立場ですから、給油活動の停止は結構なことだと思います。しかし、岡田外相や民主党政権がアフガンについて何を考えているのかは、報道を見ている限り「なぞ」です。アメリカの民意の「腰が引けている」状況では、日本は東京新聞が主張しているように「可能な分野を提案し合い、一体化した国際支援となるよう調整する」ための旗ふりをすることが、現状として一番確かなことではないでしょうか。

2009年9月18日 (金)

本日の「怒」090918/オバマ政権の外交政策・・・「チェンジ」の突破口になるか

 今日の朝刊に、こんなニュースがありました。各紙とも(かなり濃淡はありますが/苦笑)大きな扱いですので、すでに見た方もおおいでしょう。

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大統領、東欧のMD計画中止を表明 米ロ核軍縮に弾み
2009年9月18日1時16分 【ワシントン=望月洋嗣】

 オバマ米政権は17日、欧州の旧共産圏ポーランド、チェコにミサイル防衛(MD)網関連施設を配備するとしてきた現行計画を中止すると発表した。イランから欧州への中・短距離ミサイルによる脅威を想定し、イージス艦搭載の海上配備型迎撃ミサイル(SM3)を軸に、11年から新たなMD計画を進める。

 米国による東欧諸国へのMD配備は、ブッシュ前政権が「イランの核兵器や弾道ミサイルの脅威から欧州を守る」とうたって進めた。だが、ロシアが「真の目的は我が国の戦略核を無力化することだ」と強く反発、米ロ関係悪化につながっていた。東欧配備の中止によって、年内妥結を目指して進行中の米ロ核軍縮交渉でも、大きな障害が取り除かれそうだ。

 米国防総省は最新の情報として、欧州を射程に入れるイランの中・短距離ミサイル開発が予想より早く進む一方、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発は遅れていると分析した。これを受け、新システムの構築では「すでに能力が証明済みで、費用対効果が上がる技術を使う」(オバマ大統領)ことになった。

 ゲーツ国防長官が記者会見で説明した新たな計画では、SM3と移動型レーダーによるシステムを11年から配備。15年にはSM3を改変した地上配備型の移動式迎撃ミサイルも加えて、防衛能力を強化するなどとしている。その結果、チェコとポーランドに配備予定だったレーダーや地上配備型の迎撃ミサイルは不要になる、という理屈だ。

 一方、東欧諸国が、対ロシア優先での切り捨て策と不満を抱くことに配慮し、オバマ大統領は「ポーランドやチェコとは今後も集団的な防衛で協力していく」と述べた。

 米国はブッシュ政権下で、北朝鮮のミサイルの脅威を想定した限定的な地上配備型ミサイル防衛網を米本土の太平洋側に配備し、日本とも国際協力を進めてきた。路線変更が東欧配備の中止にとどまれば、直接の影響は小さいとみられる。
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 オバマ政権が発足した時のエントリー「オバマ新大統領への期待と不安」とクリントン国務長官らが決まった昨年12月のエントリー「これで大胆なチェンジがきたいできるだろうか/オバマ新大統領の閣僚名簿から読めること」でも述べましたが、オバマ政権は「チェンジ」を掲げて登場したわりには、予想通り外交政策ではあまり大胆な転換をして来ませんでした。

 特に、対イスラエル、アラブに対しては、民意を失ったイラク派兵の終息を決定した後に「テロとの戦いの主戦場はアフガン」として、アフガンでの対タリバーン対策に注力を注いでいます。

 私は、こうした「キリスト教社会の過剰なイスラム社会への介入」がもたらす「憎悪の連鎖」を危惧するものであり、オバマ政権のアフガン対応は、はっきりいって誤りであると思います。

 そうした中で、初めて「オバマらしさ」が出た外交対応がでました。MDは、その実効性も怪しいにもかかわらず、「配備するぞ」という「脅し」がロシアに対する圧力になると考えたネオコンと防衛産業が結託して推進の旗ふりをして来たものです。イランのミサイルに対処するため、というのが表向きの理由ですが、相変わらず「ロシア=悪」という固定観念に凝り固まったアメリカ保守派の「置き土産」であることは明らかです。

 MD配備は、ある意味で一番手をつけやすい「チェンジ」です。これを突破口にして、オバマ政権が「新自由主義」「新保守主義」からの「意識のチェンジ」を実行して新たなる世界観を見せてくれることを期待したいと思っています・・・・それほど楽観的ではありませんが・・・・

2009年7月 4日 (土)

本日の「怒」090704/当選を単純に喜ぶわけにはいくまい/IAEA事務局長選挙の真実

 3月の選挙で当選者がでなかったIAEAの事務局長を選ぶやり直し選挙で、ウィーンの政府代表部の天本之弥氏が当選しました。当ブログでは、3月28日のエントリー(本日の「怒」090328/IAEA事務局長選挙の「当然の結果」)で天本氏が信任票を集められなかった結果を、日本の外交が核廃絶に対して何も努力して来なかった当然の結果であることを指摘しました。今回の選挙でも、天本氏は当選したとはいえ、前回選挙の得票を一票も伸ばすことはできず、一カ国が棄権したために当選ラインが下がって当選するという、実に「お粗末な」結果となりました。

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IAEA事務局長に天野氏 先進国と途上国 深い溝浮き彫り
2009年7月4日東京新聞朝刊
 【ウィーン=弓削雅人】国際原子力機関(IAEA)は三日、ウィーンの本部で理事会を開き、次期事務局長に日本の天野之弥ウィーン国際機関代表部大使(62)を任命した。九月の年次総会で正式承認される。天野氏は理事会後の記者会見で先進国と途上国との関係に触れ「どの国、地域での意見も反映させて運営していく」と、結束して課題に取り組む姿勢を示した。
 二日の特別理事会では、信任投票にもつれ込んだ末、棄権票が一つ出て当選ラインが下がったことで天野氏は必要な支持数ぎりぎりで選ばれた。秘密投票だったため棄権に回った理事国は定かでないが、日本側は天野氏をはじめ、東京や理事国駐在の外交官もぎりぎりまで懸命の働き掛けを続けた。明確な信任表明でなくても棄権は天野氏に有利に働くことになり、まさにこの一票が勝敗の分かれ目となった。
 問題は、前回選挙も含め、当初から最有力の天野氏が苦しんだ背景。外交筋は、天野氏が当選すれば先進国に有利で途上国への配慮を欠いた運営を主導する、との懸念を途上国が持っていると指摘。IAEA内にある先進国との間の溝は容易には埋まりそうにない。
 IAEAは核燃料の安定供給と核濃縮技術の拡散防止を目的に供給保証のシステムを議論している。原発に使う低濃縮ウランを備蓄して市場価格で供給する国際管理の仕組みだが、途上国に対し原子力技術の新たな取得を制限し先進国が独占しようとするものとの反発もある。北朝鮮やイランの核開発問題に加え、途上国の先進国への不信感解消も天野氏にとって課題となる。
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 日本政府や多くの政治家の「核廃絶」への思いが嘘っぱちであることは、7月1日付のエントリー(「言論の自由のはき違えと核廃絶の嘘」)でも取り上げたように、自民党の主要な政治家や民主党の一部議員が、核武装を旨とする団体と強く連携していることでも明らかです。こうした事実は、アメリカの核政策に盲目的に追従してきた日本外交とともに、多くの途上国に不信感を与えています。再投票でも支持が増えなかった結果は、「当選したことが日本外交の勝利」ではなく、「どうやっても不信感を拭えない日本外交の惨めさ」を物語るものです。

 産経、読売の社説は、「北朝鮮、イランの核問題」と「温暖化防止に向けた原子力の平和利用の重要さ」に力点がありました。

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【主張】核の番人 不拡散に強力な指導力を(産経新聞)

 国際原子力機関(IAEA、本部・ウィーン)の次期事務局長(任期4年)に、ウィーン国際機関日本政府代表部大使の天野之弥(ゆきや)氏が選出された。エルバラダイ現事務局長の後を継ぎ、12月に就任する。
 IAEAは原子力の平和利用促進と軍事転用防止を担う。「核の番人」と呼ばれる重要な国際機関のトップにアジアから初めて、唯一の被爆国である日本から原子力・軍縮を専門とする外交官が選ばれた意義は大きい。
 IAEAは1957年に発足した。当初52だった加盟国は現在146を数える。事務局長の下に核不拡散を担当する保障措置局など6局が置かれ、2300人のスタッフを擁する専門家集団だ。しかし、核物質の軍事転用に目を光らせ、核拡散を防ぐ保障措置協定には強制力が欠ける。組織の予算や人員も十分とはいえない。
 核拡散防止条約(NPT)運用検討会議第1回準備委員会議長を務めた天野氏には、そうした核の番人の弱点を改善し、機能や能力を強化する役割を期待したい。
 決着をみなかった3月の事務局長選のやり直しとなった今回の再選挙でも、天野氏は規定による投票繰り返しの末に選ばれた。ぎりぎり当選の背景には、すでに原子力技術を持ち、核不拡散を重視する先進国と、原子力利用の制限を嫌う途上国の反目がある。
 IAEAにとって継続中の難題は、北朝鮮とイランだ。
 北朝鮮は5月に2度目の核実験を行っただけでなく、使用済み核燃料棒再処理やウラン濃縮の着手まで表明した。核施設の無能力化作業を監視していたIAEA要員は4月に退去させられたままだ。核兵器の開発疑惑がもたれるイランは「核平和利用の権利」を主張してウラン濃縮を続けている。
 むろん、米英仏中露の核保有5大国の間にも意見の違いがある。とくにイランに関しては、「平和利用ならば」と理解を示す途上国もある。IAEAのかじ取りは一筋縄ではいかない。
 一方、石油資源の枯渇が視野に入ってきた今、地球温暖化対策と相まって原子力エネルギーへの期待が高まっている。戦後一貫して平和利用に徹し、原発と核燃料サイクル事業に実績を持つ日本の代表として、天野氏には存在感を示してほしい。一部に聞こえる「指導力に欠ける」との批判をはね返す実行力も時には必要だ。
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 これに対し、東京新聞の社説は事情をやや正確に解説しています。

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天野事務局長 被爆国の願いを世界へ(東京新聞社説)

 「核の番人」と呼ばれる国際原子力機関(IAEA)の次期事務局長に初めて日本人が選ばれた。核兵器と関連技術の拡散を防ぎ、同時に原子力の平和利用を促進する強い指導力を期待する。
 当選したのはウィーン国際機関代表部の天野之弥大使。外務省で軍縮、核不拡散、原子力部門を歩んできた。十二月に就任する。
 ウィーンを舞台とした選挙戦では「広島、長崎を経験した日本から来た」と語り、日本は核の平和利用という政策を一貫して進めた「模範的な国だ」と訴えた。
 日本には長い歴史を持つ反核運動がある。政府も過去十五年間、国連総会で核廃絶決議案を提出してきた。唯一の被爆国からの事務局長選出だ。日本が進めてきた核不拡散と原子力の平和利用を両立する政策を、国際社会でさらに具体化させたい。
 オバマ米大統領が四月、プラハで「核なき世界」演説をし、米国とロシアが戦略兵器削減交渉を開始するなど核軍縮の動きが出てきた。しかしIAEAの現状を見ると、難問が山積している。
 イランは国連安保理やIAEAの要求を拒否して、ウラン濃縮活動を続けている。大統領選による混乱を受けて、次期政権は国内を結束させるためさらに対外強硬姿勢を強めて、核開発を加速化させる恐れもある。
 北朝鮮は今年四月、寧辺の核施設を担当していたIAEA監視要員を国外退去させた。
 IAEA事務局長には両国の核問題で、米国やロシア、中国など関係国の関与を見極めながら対応する政治力も必要となる。
 深刻なのは核を持つ国と持たない国の格差、対立だ。
 核を保有する先進国は不拡散体制の強化を優先するが、途上国は平和利用が目的なら核技術を移転すべきだと主張する。六月のIAEA理事会では、原発燃料となる低濃縮ウランを安定供給する「核燃料バンク」の創設が議題となったが、途上国側は自国の原子力発電の道が閉ざされると反対した。
 天野氏は選挙戦の信任投票で、当選ラインにやっと届く薄氷の勝利だった。「日本は米国寄りすぎる」とみなして反対票を投じた途上国もあるといわれる。支持基盤は万全とはいえないようだ。
 先進国と途上国の対立をどう調整していくか、天野氏には核廃絶という日本国民の願いを念頭に指導力を発揮してもらいたい。
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 IAEAのエルバラダイ現事務局長がノーベル平和賞を受賞したのは、アメリカの主張に反して「イラクに核兵器開発の兆しがない」という主張を引き下げなかったことが大きなポイントでしょう。もちろん、ノーベル平和賞が政治的なものであることは前回のエントリーでも述べた通りですが、それでも特定の国家に肩入れしなかったことは評価されるべきでしょう。果たして天野氏にその気概と力量があるでしょうか。さらに、日本政府やアメリカなど、天野氏を積極的に推した国々が、途上国の不信感を取り去る方向へIAEAが向かうことを許すでしょうか。

 このエントリーを書いていたら、こんなニュースが飛び込んできました。

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「武器輸出3原則」の緩和、経団連が提言
 日本経団連が、武器や武器関連技術の輸出を原則的に禁じている「武器輸出3原則」の緩和を求める提言をまとめることが3日、明らかになった。

 日本企業が、外国との武器の共同開発に参加できるよう求める内容で、年末に改定される「防衛計画の大綱」に反映させるよう、政府に働きかける。
 提言は、「(武器の)開発初期段階から参画することが、最先端装備を早期に取得し、防衛力を強化するために最も有効な方策」と主張している。
 「北朝鮮による弾道ミサイル発射など、北東アジアの安全保障環境は緊迫化している」状況を踏まえたものだ。武器輸出3原則について、「一律の禁止ではなく、個々のケースについて適切に対応する必要がある」と主張している。
 レーダーで捕捉されにくいステルス戦闘機などの開発費は巨額で、欧米などでは複数の国が共同で行うのが主流だ。だが、日本は、軍事関連技術の輸出が伴うため参加できず、最新鋭機の導入時期が遅れるケースも懸念されるという。また、国内では、防衛予算減で、軍事産業から撤退する企業が相次いでおり、新たなビジネス機会を求める産業界の意向も反映されている。
 武器輸出3原則を巡っては、自民党の防衛政策検討小委員会も6月に同様の提言をまとめている。
(2009年7月4日09時24分  読売新聞)
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 まさか、「通常兵器を進化させることが核廃絶につながる」などとは言わないでしょうね。経団連は、派遣切りと脱法行為のボスが会長になって以来、「正気か?」と思わせる発言が増えていますが、天野氏の当選と同じ日にこうした記事がでるところなど、この国のお粗末さを物語っているようで哀しくなります。

 広島・長崎の犠牲者が安らかに眠れる日が来ることがあるのでしょうか。

2009年7月 3日 (金)

本日の「怒」090703/外交の機密と国民の不信とは別問題だ/核「密約」問題に思う


 元外務事務次官の村田良平氏が、長い間議論になっていた「日米核密約」の存在を認めました。

 ご存じない方のために、簡単におさらいをしておきます。

 戦後、日本が占領下から独立する時に、日本はアメリカとの同盟を選択しました。結果として結ばれたものが日米安全保障条約(「安保」と略します)です。日本は冷戦体制の中でアメリカを中心とした「西側」の軍事同盟の中に組み込まれ、1954年には自衛隊も発足しました。

 こうした中で、1950年代から日本にはアメリカの艦船によって核兵器が常態的に持ち込まれていました。考えてみれば当たり前のことですが、核兵器を積んだアメリカの軍艦が日本に寄港するたびに核兵器を「下ろして」くるような面倒なことはできません。また、アメリカの戦略として、「核がどこにあるかわからない」ということが抑止力になる、というものがありましたから、どの艦船が核を積んでいるかということは決して明らかにされないのです。

 こうした「現状」を鑑み、60年の安保改定で、日米政府は、核兵器を積んだ米艦船が日本を通過したり寄港したりする時に核の搭載を認める、という「密約」を結びました。これはすでにアメリカの公文書で明らかになっている事実です。(それ以外でも、朝鮮半島で戦闘が起こったり危機的な状況になったときには、アメリカの戦闘機(爆撃機を含む)が日本の基地から「事前連絡なしに」戦闘地域に向かうことができる、という密約の存在も明らかになっています。)このように、日本はアメリカにとって「都合のよい」前線基地として機能してきたのです。

 さて、この「密約」は、歴代の内閣によって存在そのものを否定されてきました。日本は非核三原則「核兵器を作らず、持たず、持ち込ませず」を国是としているので、当然、この密約は問題になるのです。しかし、アメリカの世界戦略の中に組み込まれた日本は、米軍の戦略構想に反する発言を行なうことはできませんでした。(ちなみに、非核三原則を貫いたことで故佐藤栄作元総理がノーベル平和賞を受賞したことは、まさにブラックジョークであり、ノーベル平和賞がいかに政治的なものであるかを物語っています。もちろん、当時から世界の外交官は日本に核が持ち込まれていることを「知って」いました。)

 状況が一変したのは、1981年にライシャワー元駐日大使が毎日新聞の記者に対し、核密約の存在を認める発言をしたことでした。この後、日本政府が密約を了解していた公文書などもみつかり、密約の存在は「確実な」ものになりました。とどめは、アメリカの公文書館が過去の外交文書を公開した中に、この密約文書そのものがあったことです。こうして、日米の密約は「歴史的な事実」になりました。

 これに対して、現在も日本政府はこの密約の存在そのものを認めていません。そうした中で、村田氏の発言は、日本側が密約を認めた最初のものになったのです。

 長い間アメリカの施政下にあり、今も軍事基地で苦しみ続けている沖縄の反応は、とてもまっすぐで当然のものです。

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[核密約]「同盟の嘘」を認めよ

 米軍が日本に核兵器を持ち込むようなことはない、としてきた政府答弁は嘘だったとする証言を元外務官僚が語りはじめた。

 1987年から89年まで外務事務次官を務めた村田良平氏(79)が、日本への米軍核搭載艦船の立ち入りを認める日米密約の存在を認めた。次官が外相に密約を伝達するのは「秘密の義務」だったことを明かした。

 この証言に対し、河村建夫官房長官は「存在しない」と否定、「(米側からの)事前協議がない以上は核持ち込みはない」との公式答弁を繰り返している。

 政府は否定しても、外務官僚のトップ経験者が認めた事実は重い。米政府がすでに密約文書を公開しており、政府が否定するほど嘘の上塗りに聞こえる。

 非核三原則で核兵器の持ち込みを禁じ、その必要がある場合には米側から事前協議の申し入れがあるはずだが、まだ協議がないため核持ち込みもない、と政府は説明してきた。しかし実際には核兵器を搭載した米艦船が日本に入港するのは「持ち込み」に当たらないとする密約があったという。

 米公開公文書やライシャワー元駐日大使、ジーン・ラロック退役海軍少将の証言で密約の存在が明らかになった。ほかにも朝鮮半島有事に事前協議なしに在日米軍基地から出撃でき、極東有事には沖縄へ核再持ち込みを認める密約もあったとされる。

 村田氏によると、どの首相に密約内容を伝えるかは、外務官僚が選別していた。

 政府は歴史の事実を覆い隠すべきではない。冷戦も終わり、政府が防衛政策の柱のひとつにした台湾海峡の緊張は解け、中台間の直接投資が解禁されている。国民に密約の経緯を説明し、虚偽答弁の非を認めることこそ、信頼を得る唯一の方法だ。

 外交・防衛政策のまやかしは沖縄基地問題に通底する。

 「地理上の利点を有していることが、沖縄に米軍が駐留する主な理由と考えられる」

 米軍基地が集中する理由を政府は防衛白書でそう説明している。これも疑わしい。

 90年代半ばに米兵暴行事件が起きた当時、米国防総省高官は日本が望むなら米軍を本土へ移転できる、と公言していた。しかし、政府は沖縄に基地を封印し続けてきた。

 米軍再編で小泉純一郎元首相は「海兵隊の県外移設を検討したが、どこも受け入れを拒否した」と発言した。

 無理を押すような防衛政策はいずれ立ち行かなくなる。

 衆院外務委員会の河野太郎委員長は「政府答弁だけを信じて議会運営できる状態でなくなった」として、村田氏を参考人招致して話を聞く方針を示している。政治の責任で真実を引き出し、官僚任せの外交防衛政策を正すべきときにある。

 核密約という冷戦期の厄介な問題は早く清算すべきだ。負の遺産を抱えていては、激動するアジア安保への健全なアプローチができない。

 嘘を抱えた同盟では、沖縄基地問題の取り組みもゆがめられてしまう。
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 ここには、「国民に嘘をつかない」という政府のあたりまえの姿勢が守られて来なかったことにたいする沖縄の怒りが見えます。これに対して、悲しくなるほどお粗末極まりないのが産経の社説です。

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【主張】核「密約」論議 問うべきは核の傘の信頼

 1960年の日米安全保障条約改定の際、「核兵器の持ち込みについて日米間に密約があった」と村田良平・元外務次官が発言し、「密約」論議が再燃している。
 一部メディアは政府に密約の確認を求めているが、今回の発言は村田氏が昨年秋に出版した自著で公表しており、新事実でも爆弾証言でもない。日本にとっていま重要なことは、北朝鮮の核開発などの新たな脅威に向き合う日米安保体制や拡大抑止(核の傘)のあり方を超党派で冷静に論じることではないか。
 村田氏らが指摘する密約とは、「核を積んだ米艦船の寄港、領海通過や米軍機の飛来は事前協議の対象外とする」との日米了解事項をさす。ライシャワー元駐日大使発言などを契機に、密約の有無をめぐる論議は過去に何度も蒸し返されてきた。「密約はない」と政府が否定するパターンも、これまでと変わらない。
 日本は第二次大戦後、日米安保条約体制(日米同盟)を通じた米国の「核の傘」に国家の安全を委ねてきた。冷戦時代には、核抑止を確かなものにすると同時に核廃絶の理念を両立させる必要もあった。核持ち込みをめぐる運用上の了解事項を非公開とした当時の判断は、そうした「政治の知恵」の一つでもあったはずだ。
 その理解なしに同じ論議を重ねるのは不毛と言わざるを得ない。それよりも、日本がいま直面する状況を考える必要がある。
 現在の北東アジア情勢は、北朝鮮の核・ミサイル開発の脅威に加えて、核軍拡を続ける中国の存在も見逃せない。日本や韓国にとって、21世紀はむしろ冷戦時代よりも危険な状況に近づいているともいえる。
 先の米韓首脳会談では、韓国側が「核の傘による安全の保障」の再確認を米国に求めて、首脳間で文書化された。これからも明らかなように、同盟国に対する米国の「核の傘」の信頼度が改めて問われる時代に入っているのだ。
 日本においても、敵基地攻撃能力や核保有の是非を含めた独自の抑止態勢のあり方とともに、日米同盟を通じた核抑止がどこまで機能しているかをきちんと論議する必要が高まっている。
 そうした論議を政治が怠っては国家と国民の安全は守れない。国会の場でも、過去を蒸し返すよりも現代の緊急課題に即した抑止論議を最優先してもらいたい。
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 ここには、「初めに政府ありき」という、産経お得意の意識が満載です。「お上のやることに不満を言うな」というこの傲慢な姿勢は、「政府が国民にとって信頼されるものになる」ための「民主主義の当たり前の原則」が踏みにじられています。

 日本が「経済一流、政治二流」と言われて久しいですが、40年間日本の政治を見てきたものからすると、「経済一流(それも疑わしいですが)、政治三流、外交論外」と言わざるを得ません。こんな悲しい状況を生んでいるのは、政府が国民の信頼を得る努力を完全に放棄し、「愚民政策」を続けてきたことも大きな原因でしょう。

 改めて問います。政府は何を見て外交を行なうべきなのか。これまでの外交政策を完全に転換しないと、これから先の日本は、国際社会の中で、今まで以上に「軽蔑される存在」になっていくでしょう。

2009年4月 6日 (月)

本日の「怒」090405/麻生首相と防衛省、軍国主義者たちの高笑い


 北朝鮮がミサイルを発射しました。大方の予想通り、日本は素通り。マスコミを総動員して大騒ぎした迎撃態勢は、結局PAC3の射程外をミサイルが通過したために「役立たず」で終わりました。昨日のエントリーでも書きましたが、この騒ぎはある意味で「意図された」ものです。たとえ迎撃したところで(できっこないですが)、北朝鮮が日本に向けてノドンを打ちまくるなどということがあるわけもないのに(瞬間的に体制を崩壊させられてしまうでしょう)、いたずらに危機感を煽った人たちと、それに「乗じて」意味のない報道を垂れ流し続けたマスコミの責任は重大です。

 さっそく、産經新聞が大喜びで社説を出しました。

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産経社説(090405)

 北朝鮮が「衛星打ち上げ」を名目に長距離弾道ミサイル発射を強行したのは、世界の平和と安全に対する重大な挑戦である。とりわけ日本列島の上空通過により日本国民に恐怖心を与えた。断じて許してはならない。
 日米韓など世界の主要国は、北の発射が「ミサイル関連のすべての活動停止」を定めた国連安保理決議違反だとして発射中止と自制を繰り返し求めてきた。オバマ米大統領も「国際社会の強力な対応が必要」と述べた。
 日米は新たな決議採択も視野に安保理の速やかな行動を促し、国際社会の総意として厳しい制裁措置を講じるよう、あらゆる外交努力を結集すべきである。
 また日米同盟を通じた日本の安全と防衛のあり方も問われる。日本政府は発射体の一部が領土・領海内に落下する事態に備えて、ミサイル防衛(MD)システムによる迎撃態勢をとった。
 北は今後も発射を続ける恐れがある。迎撃態勢の検証にとどまらず、自衛隊と米軍の連携に不可欠な集団的自衛権行使を可能とする憲法解釈改定を急ぐべきだ。さらに、自衛権の発動として北のミサイル施設を先制破壊する能力を持つかどうかも含めて国政の場で積極的に論じる必要がある。
 ≪脅威を世界へ拡大≫
 北は1998年、2006年にも長距離ミサイルを発射し、今回は「テポドン2号」の改良型で射程8000キロ前後とされる。北が大陸間弾道ミサイル(ICBM)能力を持てば米本土の約半分と欧州、モスクワも射程に収まる。脅威は世界に広がり、核弾頭小型化に成功すれば米露にとっても戦略情勢が一変しかねない。
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 これぞまさに、必要以上に危機を叫んだ人たちの本心が現れています。この社説の主眼は、「北朝鮮、けしからん」ということではなく、「集団的自衛権行使を可能とする憲法解釈改定」と「自衛権の発動として北のミサイル施設を先制破壊する能力」の部分です。歴史的に、数多くの国を不要な戦争に巻き込んでいった集団的自衛権の行使だけでなく、なんと「先制攻撃」を主張しています。

 先制攻撃をする、ということは、北朝鮮まで飛行機を飛ばして爆撃するか、艦載の対地ミサイルを使うか、防衛的なミサイルだけでなく、「日本も地対地ミサイルを持て」という主張につながるか、でしょう。いずれも、専守防衛を旨とした自衛隊の本質を完全に改変するものです。

 今週末に行なわれるであろう世論調査の結果が恐ろしいと感じているのは、私だけではないでしょう。ミサイル狂想曲によって「防衛力をもっと!!」と感じてしまった人たちがどのような反応するのか・・・

 官邸や防衛省からの高笑いが聞こえてくるようです。

2009年4月 5日 (日)

本日の「怒」090404/こうやって煽るのか・・意図ありだからやるんだろうけど


 3日付のネット版夕刊フジに「とんでも記事」が載りました。見出しは「BKO砲炸裂!!槙原火だるま」(懐かしい!!!)なんていうデイリー・スポーツの見出しを彷彿とさせます。

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テポドン最悪シナリオ…ミサイル戦争で列島火の海!?

2009年4月3日(金)17時0分配信 夕刊フジ

 あす4日にも北朝鮮から飛んでくる長距離弾道ミサイル「テポドン2号」がもたらす被害について、最悪のシナリオが明らかになった。元韓国国防省北朝鮮情報分析官で拓植大国際開発研究所・客員研究員の高永●(吉を横に二つ)氏は「東北地方に落下する可能性はある」と警告。日本が迎撃した場合、北朝鮮からの報復攻撃で「10-20基のノドンが一斉に発射され、ミサイル戦争になる」とも。日本中が火の海になる可能性が出てきた。

 諜報の第一線で活動した経験のある高氏は、今回の発射について「北朝鮮が予告した空域にきちんと飛ばすかどうかがポイント」と語る。「北は食糧難や経済難だが、ミサイルや軍事技術は先進国レベル」(高氏)のため、テポドン2号の技術力も比較的高いとみられる。だが、発射実験の回数が少ないことから、「予定のコースを外れる可能性は十分にある。その場合は、日米が確実に海上で対応するはず」と高氏は言う。

 テポドン2号の全長は約40メートル。1段目のロケットが切り離されたとしても、約15メートルはあるとみられる。防衛省は2隻のイージス艦を日本海に展開しているが、迎撃した際、破片の飛散による被害が懸念されることから、イージス艦から海上配備型迎撃ミサイルを発射して片づける、と高氏は予想する。

 万が一イージス艦が撃ちもらし、東北地方に着弾した場合は「直径100メートルの範囲に甚大な被害が及ぶ」(高氏)。このため、防衛省は地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を秋田と岩手に配置して着弾前の迎撃を試みるが、破壊に成功しても「金属片が1-5キロから最大50キロまで飛散する」。東北地方の一部自治体はミサイルが飛来した場合、家の中に避難するよう呼びかける予定だが、「金属片の大きさは10センチから1メートルにも達する。1メートルなら屋根を突き破る」といい、家の中にいても安全ではない。

 さらに高氏は「迎撃後、北朝鮮が報復攻撃を仕掛けてくる可能性もある。中距離弾道ミサイル『ノドン』であれば、10-20基をすぐに一斉発射できる。1988年、イラン・イラク戦争でイラン側が放った77発のミサイルは北朝鮮製のスカッドミサイルで、このときと同じような『ミサイル戦争』になることも考えておかねばならない」と最悪の展開を予想する。

 事実、北朝鮮の官製メディアは2日夕、「重大報道」と銘打った異例のニュースを放送し、「日本が分別を失って迎撃行為に出るなら、わが人民軍は情け容赦なく、重要対象にも断固たる報復の打撃を加えるだろう」と警告した。

 ノドンの射程は約1000キロで日本全域をカバーする。ベルギーの国際研究機関「インターナショナル・クライシス・グループ」は先月末、実戦配備されたノドンは最大320基に上り、ノドン搭載用の核弾頭も開発されているとの報告書をまとめた。展開次第では日本中にノドンが降り注ぎ、列島が火の海になる恐れもある。
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 この「高永」なる人物、韓国の士官学校を出て将校を務めた経歴を持つバリバリの反北朝鮮強硬派のようですが、ためにする議論とはいえ、こうした「予測」を堂々と発表するところなど、「とんでも」資質は充分なようです。

 このような状況になる確率はどのくらいでしょうか・・・・もちろん、大変にいい加減なものですが、あまりに面白いネタなでちょっと考えてみましょう。失敗したテポドンが日本に飛来する確率は、どんなに最大に見積もっても、以下の確率を掛け合わしたものになります。

・北朝鮮のミサイルの発射実験が発射自体は成功してそのあとで失敗する率(飛ばなきゃやってきませんからね)
・失敗が爆発を起こさずブースターや本体が原形を保って飛行を続ける確率
・飛行可能な範囲の中の日本の面積の比率

 こんな確率は、3番目以外は計算不能ですが、明らかに極めて小さそうです。打ち上げの失敗は「日本まで飛来することが出来る程度の失敗」で「日本を飛び越さないほど重大な失敗」でなくてはなりません。もちろん、ブースターや本体が爆破してしまったらダメです。飛行可能な範囲の中での日本の国土の面積は、およそ0.2%だそうですが、これを他の要素の確率にかけると・・・少なくとも、宝くじの1等に当選するよりは遥かに低そうです。

(こんなことを大騒ぎするなら、例えば米軍の訓練によって起こる被害の可能性の方が、比べ物にならないくらい高いでしょう(実際に事故は起こっていますし)。テポドンは1発。日夜飛び交っている米軍機の数は、その数万倍をはるかに超えるでしょうし、現実問題として日本の上空を飛び回っているのですから。心配するのであれば、こちらを心配してほしいものです。)

 この記事の「とんでも度」は、記事が進むにつれて増大します。

 まずは「撃ち落としても破片が屋根を突き破る」。どうですか、この恐ろしさ。この記事を読んだ人は、今にでも金属片が空から降り注いでくる光景をイメージするでしょう。「大変だ、どうしよう」

 そして、迎撃に成功すれば、「北朝鮮から日本中にノドンが降り注ぎ、列島が火の海になる」のです。そうです。インターネットなんか見てる場合ではありませんよ!!

 この記事を読んで、「ソウルを火の海にする」というかつての北朝鮮のブラフを思い出した人も多いでしょう。この時は、北朝鮮側がはっきりと「ソウルを火の海にする」という表現を使って「脅し」ました。今回は、こうした具体的な具体的な表現ではなく「重要箇所に・・・」という言い回しです。それを、フジの記事が丁寧にも「日本が火の海になる」と説明して下さっているのです。ありがたくて涙が出てきますね。

 さて、フジはなぜこのように不安を煽るのでしょうか。それは、石原東京都知事の「日本の領海に落ちた方がいいんだ」という発言と同一線上にあります。「日本人は平和ぼけをしているから、軍事力の強化や核武装に否定的なのだ。平和ぼけをさまして、軍事力の強化がや憲法の改正が国民のコンセンサスになるのであれば、ミサイルが日本に落ちた方が良い」という背景がそこにはあります。「大変だ、ミサイルが飛んでくる。もっとしっかり防衛力を整備しなくちゃ。そもそも、北朝鮮なんかにばかにされないように、軍事力をもっと強くすべきだ。場合によっては北朝鮮に攻め込めるように、爆撃機や空母も必要だ。ミサイルももっと」と思う人を増やすことがその目的です。

 しかし・・・本当にミサイルが降って来たらどうしよう。心配になって来た(爆)

2009年4月 2日 (木)

本日の「怒」090402/抑止力になるか、それとも言い訳に使われるだけか・・イスラエル新政権の労働党の立場


 イスラエルの新内閣が発足しました。

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 【エルサレム=井上道夫】イスラエル国会(定数120)は3月31日深夜、右派政党リクードのネタニヤフ党首が提出した組閣名簿を賛成多数で承認し、ネタニヤフ氏を新首相とする連立内閣が発足した。パレスチナ政策で強硬姿勢をとる右派を軸としているため、中東和平でいっそうの停滞が懸念されている。
 ネタニヤフ氏は承認に先立つ国会演説で、パレスチナとの和平について言及。「イスラエルの脅威とならない権限すべてを与える合意が可能だ」と述べたが、パレスチナ国家樹立には具体的に言及しなかった。
 新政権はリクード(議席数27)のほか、右派の「イスラエル我が家」(同15)、シャス(同11)、「ユダヤの家」(同3)に左派労働党(同13)を加えた5党(計69議席)の連立。右派中心の連立に反発し、国会での承認では投票しない労働党議員も数人いた。ネタニヤフ氏は政権基盤を安定させるため、右派政党のユダヤ教連合(同5)との連立交渉を進めている。
 外相には、イスラエル国内のアラブ系住民の排斥を主張する「我が家」のリーベルマン党首、国防相には前政権から引き続き労働党のバラク党首が就任した。(朝日新聞)
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 ガザ地区でのパレスチナ人に対する虐殺行為が行なわれた直後の選挙で、カディマや労働党が当初の予想よりは善戦したものの、結局右派が勝利をおさめました。危機(たとえそれが演出されたものであったとしても)の後は右派が有利という、イスラエルの選挙の基本的な構造からいっても予想されたことですが、発足した政権に労働党が加わったことで、ネタニヤフ政権はさらなる暴走を起こすのではないかという危惧を持ってしまいます。

 歴史を振り返ってみると「選挙がある程度民主的に機能すれば、政権の本来の主張からはやりそうもないことの方が起こしやすい」という、面白い事実に気がつきます。アメリカが中国との国交正常化に動いたのは、そのタカ派的主張からは想像もつかなかったニクソン政権でのことです。戦前の日本でも、治安維持法が制定・施行されたのは、前後の軍人内閣(山本権兵衛、田中義一内閣)の時ではなく、憲政会の加藤高明内閣の時ですし、イスラエルでもキャンプデービット合意を主導したのは、右派リクードのペギン政権です。

 こうした例が多い背景には、さまざまな理由がありそうです。

 ひとつには、敵対する勢力よりも支持勢力の方が「がまんしやすい」という側面があるでしょう。イスラエルを例にとれば、労働党政権の時にアラブとの和平を目指せば、右派からの強い反発が避けられません。しかしリクード政権ならば、右派には一定の安心感ができるのです。こうしたことは、どの国でも(選挙によって政権交代がある国であれば)起こりえます。

 今年に入ってからのイスラエルによるパレスチナに対する大量虐殺は、リクードから分かれたカディマと労働党の連立政権下で行なわれました。カディマも労働党も、パレスチナに対して宥和的な政策をとると反発が大きくなることを恐れて、犯罪的とも言える虐殺行為を(周到な準備を行なった上で)実行しました。これも、政治的な力関係を考えると「対立する側の主張を取り入れる」行為とも言えるでしょう。

 さて、右派が勝利したイスラエルの総選挙ですが、強硬派の右派(イスラエル我が家、シャス)と労働党が、リクードを中心にしてヤジロベエのように左右にぶら下がる格好です。しかし、このヤジロベエ、中心はずっと右側にあります。大イスラエル主義を唱えるリクードやアラブ系の積極的な排除を目指す「イスラエル我が家」などの右派は、もともと政治的にはとても近いのです。その中に、なぜ労働党が入ったのか。述べて来たような「歴史の真実」から考えると、労働党が、他の政党が主導する極端な路線を免罪するための「おまじない」として取り込まれたのではないか、という気がしてならないのです。

 筋金入りの強硬派の首相、外相に主導されて、イスラエルがこれまで以上にパレスチナに対して抑圧的な政策をとることは、残念ながら見通せてしまいます。憎悪の連鎖がさらに連なり、真の中東和平への道のりが遠ざかったとしたら、労働党が政権に取り込まれたことがその一因となってしまう可能性があるのです。

2009年3月28日 (土)

本日の「怒」090328/IAEA事務局長選挙の「当然の結果」

 国際原子力機関(IAEA)で、エルバラダイ現事務局長の公認を決める選挙がありました。日本から天野之弥国際機関代表部大使が出馬し、南アフリカの候補との決選投票では、どちらの候補も必要数(理事国の3分の2)の支持を得ることができず、選挙がやり直しになりました。日本政府は、中曽根外務大臣を先頭に各国への働きかけを続けて来て、天野大使も有力視されていただけに「日本外交の痛い敗北」というスタンスの報道が見受けられます。

 この結果が意味するものはなんでしょうか。

 今日付の朝日新聞には、「唯一の被爆国として核廃絶に努力して来た日本にとって」という文章がありました。これを見て、「なるほど、日本が支持されないのは当たり前だな」と痛感しました。

 はたして、日本は本当に「核廃絶に努力して来た」のでしょうか。

 IAEA体制そのものが、IAEA発足当時の核保有国の「核独占」を固定化する目的を持って作られたこと、そして、日本がアメリカの戦略に従ってIAEA体制を支持して来たことは、昨年9月のエントリーで明らかにしました。(怒.怒.怒: 被爆者の叫びを忘れたのか・・・ダブルスタンダードを許容する日本の核外交)こうした結果が、主に第三世界に対して日本外交の不誠実さを知らしめたことが、今回の選挙の結果に示されています。日本の外交官がIEAEの事務局長になるなど、まさにブラックジョークなのです。

 日本が「非核三原則」というお題目を唱えながら、実際にはアメリカに対して核兵器の持ち込みを無制限に黙認し続けて来たことは、世界中の政府/国際機関にとって周知の事実です。言うこととやることが違い、核兵器の恐ろしさを知りながらこのような態度を取り続けている日本に、核の問題につて世界から支持を受けられると思う外務官僚のセンスを疑います。そして、朝日を始めとするマスコミが、こうした背景を報道することなく、政府の方針のPRに加担している現状を、とても恐ろしく思います。

2009年2月 4日 (水)

本日の「怒」090204/繰り返してほしくない歴史がまた・・・


 世界同時不況の様子が徐々に明らかになってきました。「100年に一度」が冗談では済まされない状況がはっきりしてきています。先行きや不況の状況について、エコノミストたちがさまざまに発言をしています。私は、その中にある種の「楽観」を感じてイライラしています。楽観視を感じる主なものは、「これまでと違って、セイフティーネットも充実しているし、各国が協調して対応する体制が整っている」というものです。

 しかし、アメリカ議会に提出された(下院ではすでに可決されている)景気対策法案には、公共事業などへのアメリカ製品以外の排除(バイ・アメリカン条項)が盛り込まれています。下院で可決された法案では対象品目を鉄に限っていましたが、上院では工業製品全体に対象を拡げた法案が審議中で、なんらかの修正が行なわれるにしても、バイ・アメリカン条項自体は可決されることになるでしょう。要するに、アメリカの議員は、1930年代の失敗(大恐慌の後、アメリカではやはりバイ・アメリカン法案が成立し、その後の保護主義の蔓延につながった)になんら学んでいないのです。

 歴史を振り返ると、大きな混乱期の後には必ず戦争がありました。戦争はさまざまな矛盾を覆い隠す、禁断の麻薬です。国内政治に矛盾を来した為政者は、必ずといってよいほど対外的な問題に国民の目を向けようとします。ヒトラーなどを例に挙げる必要もないでしょう。それが「戦争」という形をとらなくても、対外的な「敵」を作ることが、為政者の権力を守ることにつながることが多いのです。湾岸戦争やイラク戦争開始直後に、アメリカで大統領の支持率が9割になってしまうと言う現実。そこでは、戦争に反対するものは「非国民」とされ、排撃されます。寒い冬の北風の中で、1人で立ちすくんでいるのは寒いのでおしくらまんじゅうしている、みんなが寄り添って同じことをしたがる、そんな風景すら目に浮かびます。

 オバマ新大統領の発言は、現在のところ「多様化を認める社会」への道を示しています。しかし、すでにローマ教会は実質的にオバマ新大統領を否定する声明を出しました。アメリカ国内のプロテスタント原理主義者たちも、このまま黙っていることはないでしょう。経済政策がどのような効果を生み出すのかはまだわかりませんが、こうした声にゆさぶられて、アメリカがこれまでの「困ったときは軍需、戦争頼み」から転換できなくなるのではないか、という危惧を感じます。

 保護主義は連鎖します。これも歴史的な真実です。バイ・アメリカン条項は小さなひとつの出来事かもしれませんが、ここからどのように世界が「曲がって」行くのか、慎重に見守らなくてはなりません。

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