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2010年4月20日 (火)

本日の「怒」100420/JR不採用問題に決着・・・それにしても、産経の社説は「人をだますにはどうするか」という方法論満載で、勉強になります


 国鉄民営化の「デタラメ」の象徴のひとつであった、旧国鉄の主に国労組合員に対するJRの不採用問題について、20年以上経過してやっと解決の目処がついたようです。

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JR不採用 国労、政府案を『了承』
2010年4月9日 東京新聞夕刊

 国労組合員らのJR不採用問題で、国労など関係団体は九日、一人当たり約二千二百万円、総額約二百億円の和解金を支払うことを柱とする政府の和解案を受け入れる方針を与党三党と公明党関係者に示した。問題は二十三年ぶりに政治決着する見通しとなった。

 与党関係者が国労側との協議後「国労側が基本的に了承した」と話した。一方、国労の高橋伸二委員長は「いろいろと難しい問題がある」と述べ、組織としての決定が必要との認識を示した。国労は同日午後、会議を開いた後、会見する。

 四党案では当初、「人道的見地」からJR各社に約二百人の雇用を要請するとしていた。JR側の反発を受け、政府案では「努力するが、人数などが希望通り採用されることは保証できない」との文言が盛り込まれた。

 また、厳しい経営が続くJR北海道、四国、九州、貨物の四社が雇用した場合、「雇用助成金」を支出するとの四党案も削除された。

 政府案は一九八七年の国鉄分割・民営化の際、不採用となった国労組合員ら千四十七人のうち、係争中の原告(遺族を含む)九百十世帯に、一人当たり約二千二百万円を国鉄の債権、債務を引き継いだ鉄道建設・運輸施設整備支援機構が支払うとの内容。原告側が訴訟を取り下げるのが条件。
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 国鉄の分割民営化がその根拠も結果も如何にデタラメなものであったかは、当ブログで何回か取り上げました。

・最後は「世襲」で幕。小泉劇場の終演/小泉政権のやったこと1
http://do-do-do.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post-58dd.html
・日本の取るべき進路について3/きちんと「懲り」ましょうよ/政府の役割1
http://do-do-do.cocolog-nifty.com/blog/2009/01/post-707c.html
など

 改めて、分割民営化とJRの不採用問題の時間的な経過を見直してみると、「長いなぁ」という感慨があります。

・事実経過概略

1987 国鉄分割民営化によってJRへ移行:約7000人の組合員が不採用
1990 JR不採用の国労組合員など1000人あまりが清算事業団を解雇される 
   JR不採用の組合員へのJR採用を地労委が救済命令(JRは拒否)
2003 中労委でも同様の決定(組合差別を認定)が出て、JRは東京地裁に命令取り消しを求めて提訴
1998 東京地裁でJRが勝訴(国鉄とJRは別会社なので、国鉄の不当労働行為の責任をJRは負わないから)
2000 いわゆる「四党合意」(JRへの解決金の支払いの「要請」とJRの責任がないことを組合側が認める合意だが実効せず)
2002 国労の組合員の一部が清算事業団を提訴(不当労働行為)
2003 最高裁でJR勝訴が確定(JRに不当労働行為の責任はない・・・別会社だから)
2005 東京地裁がJR側の組合差別を認めて国労側に慰謝料の支払いを命じる。採用については労働側の敗訴
2006 ILO事務局長がこの問題で来日。不当労働行為を認め、解決を促す勧告。JR、国は無視
2008 東京地裁で判断二つ。組合員への不当労働行為を認める判決と消滅時効を認めて棄却するもの。


「中曽根内閣による国鉄の分割民営化は国労潰しが目的だった」ともいわれるくらい、分割民営化時の国鉄の国労への対応は厳しいものでした。国労組合員であるというだけで職場から隔離され(人材活用センター/問題になったJR西日本の「日勤教育」の源流)、ほとんどの組合員がJRに採用されませんでした。採用されたごく一部に対しても、不当労働行為が頻発し、多くの訴訟が起こされることになります。

 これに対して、労働者側は当然訴訟を起こすことになりました。基本的には「国鉄がやったことは不当労働行為」ということが裁判によって認定されていますが、「JRには国鉄の不当労働行為に対する責任はない」ということで、労働者側の請求が棄却されている判決もあります。特に最高裁の2003年年の判決では、「JRは不採用についての責任はない」という判例が確定しています。しかし、これは「実質的な会社が別会社になったから」というのがその理由。つまり、悪いことをやった会社をたたんで新しく会社をつくったのだから、新しい会社に元の会社が悪いことをやった責任はない、という論理なのです。

 こういう話、よく聞きますね。訪問販売などで詐欺商法をした会社が、訴えられる前に別会社になってしまうのです。もちろん、追及はできなくなります。これとそっくり同じ構造が、国鉄 → JRへの移行時にあったわけですね。

 こうした歴史的な事実の「都合の良い部分」だけを取り出すと、「産業経済新聞」の「金儲けをする会社がよい会社、それを作るのがよい社会」というスタンスの社説が出来上がります。ここまで書いて来た前提を知らないと、信じてしまいそうな内容です。

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【主張】JR不採用決着 「ゴネ得」としか映らない
2010.4.13 03:26

 国鉄の分割・民営化に反対した国労組合員らがJRに採用されなかった問題が政治決着した。

 政府が1世帯当たり約2200万円を和解金として支払う代わり、国労側は旧国鉄(現・鉄道建設・運輸施設整備支援機構)を相手取った係争中の訴訟すべてを取り下げることが合意の柱だ。

 原告団910世帯で総額200億円という和解金の算出根拠も疑問だ。国鉄再建のため、あえて広域転勤などにも応じた多数の国鉄マンにはゴネ得としか映らないだろう。その意味でも、JR採用を希望する場合は政府が雇用受け入れを各社に「要請する」とした合意はおかしい。

 前原誠司国土交通相は「あくまでも判断するのはJR各社だ」としつつも、「最大限の努力を要請したい」とも語り、民間会社への権利侵害にはあたらないとの見解を示している。分割・民営化を主導した官庁のトップとして、信じがたい発言である。

 今回の決着は、与党の民主・社民・国民新3党と公明党が3月中旬に政府に提出した「4党提案」がたたき台になっている。和解金も3000万円近かった当初案からすれば相当減額されている。

 しかし、JRの雇用受け入れについては社民党はじめ4党・国労側が最後まで譲らず、最初は難色を示していた政府も「要請」なら責任は回避できるとみて最終的に受け入れを決めたようだ。

 国労側が政府の後押しに終始こだわった背景には、ちょうど10年前にもあった4党合意の失敗が“教訓”としてある。

 当時は自民・公明・保守の与党3党と野党の社民党による合意だったが、提案内容が金額や雇用義務で具体性を欠いた結果、2年後には白紙撤回された。

 前原国交相発言に社民党の又市征治副党首が「政府の要請は重い。単に要請ベースみたいな話ではすまない」と、すかさず実現を迫ったのもこのためである。

 原告団でJR採用希望者は北海道と九州を中心に200人程度いるという。すでに完全民営化で国の手を離れた本州の3社はともかく、国が依然、全株を保有する北海道など他のJR各社には無視できない圧力となろう。

 JRの不採用については、平成15年12月の最高裁判決で「責任なし」の司法判断が確定している。政府には、その自覚とともに民間への介入自制を強く求めたい。
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 ここで触れられている司法判断は最高裁判決だけであることに注目しましょう。現在進行中の裁判にすら触れていません。しかも、「責任なし」という結論部分だけを利用していることがわかります。

 しかも悪質なのは、「ごね得」という強烈な非難の言葉を使っていることです。組合員を一方的に悪者にするために、歴史的な事実を勝手に取り出して都合のいいように書き換える・・くだんの会社が推している歴史の教科書そっくりですね。

 ナベツネ新聞社説も、基本線は同じです。さすが、先鋭的な組合を潰して御用組合に支配させた会社だけあります。経営陣に対して批判的・攻撃的な組合に対しては冷酷極まりないですね。

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JR不採用問題 労組に甘すぎる政治決着だ(4月10日付・読売社説)

 国鉄分割・民営化における、国鉄労働組合(国労)の組合員ら1047人のJR不採用問題で、政府・与党と公明党が解決案をまとめ、国労も受け入れると回答した。

 1987年の民営化以来、23年ぶりに解決に向かうことになったが、あまりに労組寄りの政治決着である。旧国鉄関係者はもちろん多くの国民も、強い違和感を持つのではないだろうか。

 民営化に反対し、組合員の雇用より政治色の強い運動を優先させてきた国労の対応を、政府が認めたに等しい内容だ。

 まず、和解金などとして1人当たり約2200万円を支払うことにしているが、何を根拠に、こんな高額になるのだろうか。

 JRの採用過程で組合差別があったとして、国労組合員らは、鉄道建設・運輸施設整備支援機構を相手取り、損害賠償などを求める複数の裁判を起こしている。

 だが、これまでに認められた最高の賠償額は、遅延金利分を含め1人当たり約1100万円だ。今回の政治決着の半額である。

 しかも、支援機構は組合差別はなかったと上訴している。時効で賠償請求権は消えたとする別の判決もある。政治決着は、こうした裁判の経緯を無視したものだ。

 さらに、政治決着のもう一つの柱として政府は、約200人の採用をJRに要請する。

 すでに最高裁は、JRに採用責任はないとの判断を示し、法的には決着済みの問題だ。就職先が決まらない新卒者も多い昨今、政府が組合員の採用をJRに押しつけるのは、筋違いも甚だしい。

 そもそも、これまで不採用問題が決着しなかった責任は、国労と組合員の側にある。

 国鉄当時の元の職場への復帰にこだわり、JR間の広域異動や再就職の支援も拒否してきた。これまで、自民党などの政党や旧運輸省が示した和解案にも、国労は応じてこなかった。

 民営化に協力した労組が「彼らを復職させるなら、広域異動や転職に応じた我々の仲間を、まず元の職場に帰してくれ」と主張してきた。こんな経緯も考えると、まさにゴネ得である。

 経営環境は厳しく、企業の合併や従業員の出向、希望退職募集などは珍しくはない。労組も企業の存続を優先させ、苦悩しつつ経営に協力しているのが現状だ。

 今回の解決案は、こうした労組や組合員を逆なでするものでもあることを、政府・与党と公明党はわかっているのだろうか。
(2010年4月10日02時16分  読売新聞)
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 こうした、経営側の一方的な見方をさらに強調して論じるところが、サンケイ、ナベツネ両新聞の特徴ですね。

 以下は、「まともな」社説です。これは毎日ですが、地方紙の中にもきちんと論点を述べているものがいくつかありました。

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JR不採用問題/組合差別は解消されるが 

 国鉄の分割・民営化に伴い、JRを不採用になった国労組合員らが争っていた問題は、23年ぶりに政治決着した。

 組合員1人当たり約2200万円、総額約200億円を支払う‐などとする政府案を、国労などの関係団体が受け入れた。

 当初、政府案に盛り込まれる予定だった雇用要請や、雇用された場合のJRへの助成金支払いなどの文言は削除された。

 分割・民営化が時の政治判断で行われた以上、こじれにこじれた問題に政治の責任でけりをつけるのは当然だ。十分な中身とはいえないが、この機会を逃せば解決はさらに遠のく。国労側がこぶしを下ろすと決めたのは賢明な判断といえる。

 国鉄がJRになったのは1987年。その際、不採用となった1047人は旧清算事業団に期限付きで雇用された。しかし3年後、一部事業を引き継いだ鉄道支援機構を解雇となる。組合員らは「組合を差別した不当労働行為」などと争ってきた。

 不採用問題は、JR側に法的責任がないことは最高裁判決で確定している。だが、一部組合員らは鉄道支援機構を相手取った解雇無効訴訟を起こし、一、二審とも組合差別を認め、慰謝料などの支払いを命じた。その間、国際労働機関(ILO)が日本政府に支援受け入れを求めた経緯もあり、連立政権にとって懸案の一つだった。

 分割・民営化を行政改革の柱と位置づけて、断行したのは中曽根内閣である。当時は国の助成金をいくらつぎ込んでも累積債務は膨らみ、人件費が営業収入の大半を占める状態だった。83年、国鉄再建監理委員会の発足により再編が加速し、86年11月に国鉄改革関連8法が成立した。

 JR発足時の国労組合員は4分の1以下に激減し、分割・民営化に反対した北海道と九州の組合員を中心に職を失った。分割・民営化は組合つぶしが目的で、不当労働行為で成立したといわれたのもそんな理由による。組合員らが勝訴した先の判決でも国鉄側に組合差別があったと認めた。

 決着の機会は過去にもあったが、政府と国労の間に意識のずれがあったり、国労の足並みが乱れたりして不発に終わった。今回決着したのは、労働団体にパイプをもつ連立政権の成果といえるだろう。

 国際問題にまでなった不当労働行為が解消されることは、何より望ましい。これにとどまらず、希望者に再雇用の場を確保する努力を重ねてほしい。法的責任がなくても、JRは踏み込んだ対応をすべきだ。
(2010/04/14 09:48)
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 しかし・・・

 読売や産経しか読んでいない人の情報は、とんでもなくいびつなんでしょうね・・・

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コメント

お元気ですか?
『踊る民主党』の第二幕が上がりますよ。

100420/JR不採用問題に決着・・・それにしても、産経の社説・・・について同感です。遅ればせながら、エールを送らせて頂きます。産経は、主張で「ゴネ得」論を展開。では、裁判で「不当労働行為」があったとする05/9/15鉄建公団訴訟一審判決、09/3/25の、同高裁判決はどう評価しているのか、蓋をしてしまっています。これでは、公正・中立を保たなければならないマスコミとしての使命を自ら否定していると断じざるを得ません。こんな新聞が日本を奈落の底に引き込む先兵の役割を務めているのでしょう。腹が立ちます。「産経の偏向報道」として、鉄の介もブログupしています。

たにしさん


そうですねぇ・・・

最近忙しくてあまりかけないのですが、「怒」だらけです。
少し落ち着いたら、書こうと思っていますが・・・

鉄の介さん

まぁ、産経の記事に目くじらを立てても仕方がないとは思いますが・・・それでも、あまりに面白いものは取り上げています。

鉄の介さんのブログも少し拝見しましたが(時間がある時にゆっくり見させていただきます)櫻井某のような右翼を、私は「思考停止型右翼」と呼んでいます。石原都知事しかりですが。

こういう人たちの言っていることをまともに理解することは不可能です。産経の社説と同列ですね。

産経の社説は正論ですよ。
そうでなければ彼らの運動が全く国民の支持を集められなかったことの説明がつきません。
こちらのプログの方が貴方よりよほど正論を書いてます。

http://blogs.yahoo.co.jp/bonbori098/25466009.html

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