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2008年12月 1日 (月)

本日の「怒」081201/やっぱりね。郵便会社の赤字決算と「さすが!日経新聞」


 民営化された郵便事業会社が、決算を発表しました。以下に、二つの記事を引用します。

(11月29日付日経新聞)
日本郵政、純利益2200億円 9月中間、金融危機で貯金回帰

 日本郵政が28日発表した2008年9月中間決算は、純利益が2224億円と当初の通期利益予想(4400億円)の5割を超えた。金融危機の広がりで個人のお金が貯金に戻り始め、国債中心の運用で安定的に収益を上げた。ただ、効率化や新規事業の拡大といった「民営化の果実」はまだ見えず、改革加速が課題になる。
 ゆうちょ銀行の純利益は1501億円でグループ全体の3分の2を稼ぎ出した。約200兆円の運用資産のうち、国債が156兆円を占める。株価の下落で364億円を減損処理したが、国債一辺倒のいわば「周回遅れの運用」(日本郵政関係者)が金融危機の影響を最小限に食い止めた。
 半期で5兆円の規模で続いていた貯金の流出にも歯止めが掛かり始めた。9月末は半年前に比べて約3兆円減と減少幅が縮小。新規の預け入れも増えているという。金融危機による「投資から貯蓄へ」の動きが追い風だ。(07:00)

(11月28日付朝日新聞)
郵便事業会社、純損失189億円 9月中間期

 日本郵政グループは28日、08年9月中間連結決算を発表した。昨年10月に民営化したので前年同期との比較はできないが、売上高にあたる経常収益は9兆4868億円、経常利益は4225億円。純利益は2224億円だった。郵便事業会社は郵便物の取扱数が減り、189億円の純損失となった。
 配達や物流を手がける郵便事業会社は、郵便物の取扱数が前年同期より3%少ない91億5756万通。ゆうパックも0.8%減って1億3255万個だった。メールの普及に加え、景況感が悪化し、企業からの注文が減ったことが響いた。
 窓口業務を担当する郵便局会社は、貯金残高が増えた拠点が拡大したり、新たな保険契約が増えたりしたことで手数料収入が増加。209億円の純利益を確保した。
 ゆうちょ銀行は、国債中心に運用していたことが功を奏し、金融危機のなかでも1501億円の純利益を得た。
(ここまで引用)

 今日は、まず二つの新聞記事の違いです。日経の記事と朝日の記事を読んで、「あれ?」と思いませんか。日経の記事は「郵便会社が金融危機にもめげずによくやっている」、朝日の記事は「郵便事業が赤字」というところに力点があります。

 日経を要約すると、「民営化した郵便局は、金融危機の影響が少なく、黒字を確保した。貯金の流出にも歯止めがかかった。事業会社にはまだ課題があるので、改革を加速しなければならない」と読めます。
 一方の朝日は「郵便事業会社は手紙などの減少で赤字。窓口の会社は黒字を確保。銀行部分は国債中心の運用で利益を確保した」と読めます。

 どうしてこんな差が出るのでしょうか? どちらが「正しい」のでしょうか?

 社説の違いは、意見の違いですので理解することは簡単ですし、新聞社のカラーを知っていれば言いたいことはわかります。例えば、国会が上手く機能しないとき、朝日、毎日は政府・自民党に辛口で、読売は全て民主党が悪い、産経は民主党が悪いが政府にも問題あり、日経は時により、という反応の違いが出ます。マスコミの本質的な役割が何か、ということを考えると、権力者を擁護する一方の新聞はジャーナリズムとは言えませんが、それでも意見の違いがあることは理解できます。問題は、決算発表という「事実」をどのように報道するのかによって、受け取る側の見方が変わってしまうことです。日経を読めば、「民営化は成功だ。もっと徹底しなくちゃならない」と思うでしょうし、朝日を読めば「民営化は本当によかったのか?」と疑問を持つ人が出てくるでしょう。(引用はしませんが、読売は両方を淡々と記事にしていました。)

 日経は、経済の問題に関しては、概ね企業よりに取れるような記事の書き方をします。それは新聞社と企業の関係から仕方のないことです。日経の記者は、企業の担当者からできるだけ速く正確な情報を得るために努力します。そのためには、企業側との関係を良くしておく必要があるのです。実際に日経の記者に話を聞くと、「ちょっと怪しいか」と思っても出された情報を記事にしてしまうことがあるそうです。(これが、企業情報のスクープが多いことにもつながりますが、副作用として、日経が一番誤報が多いのも確かです。企業が上げたアドバルーンをそのまま記事にしてしまうことが多いからです。)今回の記事は、ある意味では「問題点を見えなくして、自由化に対して起こり始めた反発を抑制したい」という意図が透けて見えるのです。多くの大企業経営者や大手の金融機関、大株主の意向に沿った記事の書き方だと言えるでしょう。

 さて、新聞記事の違いが面白かったので、ついこだわってしまいました。本当は「やっぱり民営化して上手くいくはずがない」というネタを書こうと思ったのですが・・・その点についてはまたにします。

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